【回想】 大切なあなた – Valentine’s Seven Stories

倭国EMホールの2F。

Valentineイベントが終わり、各地に置いてあった物語達を目の前に積み上げて満足げに眺めるカナタ。

各地を歩き回り集めてきたとっておきのラブストーリー達。

ただ、とっておきすぎて、チョコレートなんて目じゃない甘さになってしまったことを、少々後悔していたけれど、ふたを開けてみればなんのことはない。

女の子達はもとより、勇敢な戦士達もそれなりに楽しんでくれていたみたい。……もっともそれは、本のありかを探す冒険として、だったのかもしれないけれど。

そしてカナタは、机に積まれた本の横にある、もう一つの山に手を伸ばす。

そう、差入れのチョコレート。

これで当面チョコに困らないのは良いけれど、甘さに頭もクラクラなカナタだった。

そんな甘さを中和してくれるのは、執事・スワンソンが淹れてくれた極めつきのブラック珈琲と「義理ですから!」とのほろ苦すぎるダメ押しの言葉の記憶。

それでもいつになく幸せそうなカナタは、椅子にもたれ、天井を見上げながら今日のイベントを思い返すのだった。

………………
…………

この甘いイベントの仕切りをあの堅苦しいスワンソンに任せるわけにはいかないのだ!

ぼくがやる!

燃えている。

なぜならば、直前まで幾度となく事務所のポストをのぞき込んでも、空っぽ。ついついリワードホールのポストまでのぞきに行ったけど、やっぱり空っぽ。

バレンタイン、もう過ぎちゃってるのにどうなってんの!

こうなったら、イベントで何気なく催促するしかない。

こうして決死の覚悟で、ぼくは壇上に上がったんだ。

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スワンソンさんが来ると思った
スワンソンはどうした
スワンソン人気だなぁ
スワンソンはインフルエンザか
Kanata人気無

うるさいよ。

カチンときたぼくは、とりあえずイベント進行よりも個人的な目的達成を優先するのだ。

「そんなわけで、すでにバレンタインデーは過ぎておりますが」

「みなさんに報告です」

「なぜかワタシの元には、みなさんからのチョコが届いておりません」

これでよし……たくさんのおひねりならぬ、チョコがステージに飛んでくるはず。と思いきや、飛んでくるのは笑い声とクリームパイばかり……。あまりの悲しさに、現実から目を背け記憶の改ざんをスタートする。

「悲しさのあまり、今、ワタシの記憶が改ざんされました」

「今年の倭国のバレンタインデーは、今日2月16日だったに違いない」

というわけで、まだまだ受付中であることをアピールしつつ、そろそろ本題に。

今回は、ブリタニア各地に散らばる七冊の本を探す旅。先に六冊の本を見つけ出し、その本に書かれたキーワードを並べ替え、最後の本のありかへ行っていただくという趣向。

それぞれの本には、ぼくが各地から集めてきた、甘い甘い物語。

独り身らしき人たちからは

寂しい思いするだけかもなのに・・・
そういうのがかえって独り身の心をえぐる…
悪夢かも・・・

などと、ある種阿鼻叫喚にも似た声が聞こえてくるのだけど、自身独り身のぼくは容赦なし。

というわけで、早速スタート。

各自でまわっていただくので、海でも眺めながらのんびりやろう。

六冊のありかのヒントはこんな感じ。

  1. バレンタインにふさわしきあの形をした、小さな小さな島を臨む
  2. 滝の飛沫が花を育て、恋人を呼び寄せる
  3. 海と大地の間、八徳に彩られぬ街
  4. 戦士と傭兵の街ながら、器用さで勝負する職人も
  5. 海賊酒場へようこそ
  6. はじまりの街、ここに籠もってチョコを作ろう

個人的には簡単な問題のつもりだったんだけど……なかなか混乱している模様。とてものんびりしているヒマはなし。

でも、悪いことばかりでもない。

颯爽と働き続けるぼくの姿に魅了されたのだろう。

ついにチョコが我が手に!

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GET!!!

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さらにGET!!

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ステージ上にもたくさんのチョコが! そしてマフィンもハート型に!

これでぼくもエンジン全開!

どんどん集まる質問にもお答えしつつ、巡回もこなす万能っぷり、

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まあ、早い人、遅い人はいろいろで、ぼくはどちらでもかまわない。

とりあえず楽しんでもらっていればそれで良いのだ。

そしてリワードホールに戻ると、そろそろ六冊の本のキーワードを集め終わった方もちらほらと。

でも、キーワードのアナグラム(並べ替え)に苦労している方がかなり多い感じ。多少ヒントを出しつつも、それでも追っつかないくらい大勢の人が悩んでいる雰囲気。

さらに駆け出し冒険者の方もいらっしゃるようで、そもそも六冊の本のヒントがわからない方も悲痛な声を上げている。ちょっと、ぼくだけでは対応しきれない……でも、こんな時に頼りになるのはベテランのみなさんだ。

しかも、いろんなヒントを出しつつ答えへ導く良い仕事!

EMホールもイベントチャットも大盛況。

思いがけないほどの盛り上がりに、ぼくはいつものように、胸が熱くなるのを感じるのだ。

そして、さらに嬉しい提案が。

かなたさんガイドで6冊の本巡りツアーをやっちゃうとかw

うん。初心者さんでどうしようもない感じの人もいるみたいだし、終わった人も残ってくれていてノリノリだし……やっちゃうか!

というわけで、急遽開催決定のバレンタイン本巡りツアー!

六つの石柱に刻まれたヒントをみんなで確認しながら、各地へ飛ぶ!

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まずは、ちいさなちいさなハート型の島。ハートアイランド! ここは知らない人もいたけれど、どちらかというと、場所を覚えてない、という人が多かったみたいだ。

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お次は、”八徳に彩られぬ街”Vesper港!

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説明の必要なし! Yew大滝公園!

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はじまりの街、New Havenの(今日だけは)チョコレート工房は満員御礼!

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個人的にお気に入り、戦士と傭兵の街Jhelomの細工屋さん。

ここには一番テンション高いラブストーリーが!

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そして最後はここ!

Buccaneer's Denの海賊酒場!

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で、それぞれの本に書かれていたキーワードを並べると……

Reward Hall

そう……マラスの辺境に寂しく建っている、我らが倭国リワードホールこそが最終目的地だったんだ! EMホールの後ろにルーンを置いてあるというドキドキの状況だったけど、気付いた人もオトナの貫禄で見て見ぬ振りをしてくれた。

で、みんな一緒に最後の目的地へ!

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ちょっと照れるけど、最後の本は、ぼくからみんなへの愛と感謝の本だったり。

で、締めのあいさつも終わり、無事解散と思いきや、最後の最後で爆弾発言がぼくを襲う!

アナグラムがDから始まっても、ここに辿り着いてこられて……

な……なんだって!? ……ま……また、しくじった?

絶望に包まれそうなぼくを助けるように、彼女が口を開いた。

Himiko: DEAR RW HALL

あまりにステキなアナグラムに、一気にテンションが上がるぼくだった。

「あなたは素晴らしすぎる」

「もう、それを正解にいたしましょう」

「他の人全員不正解です」(ウソですよ!)

……Himikoさん、あなたが優勝です。

(※ お名前の掲載許可ありがとうございます)

こうして、とってもステキなハッピーバレンタインは幕を閉じたんだ。

感謝の言葉の代わりに、7冊目の本をここに載せたいと思う。

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…………
………………

次の日、両手に6冊の本を抱えて、カナタはリワードホールへ向かった。

蒼白の台に載せられたピンクのキューピッド。周りを飾るのは当然キノコ達。

カナタはその前に六つの台を並べると、それぞれの上に丁寧に一冊ずつ本を置き、さらに薔薇を一輪ずつ添えてゆく。

この物語達に登場したカップル達が今どこで、どうしているのかは神のみぞ知る。

でも、その何十倍も、何百倍もたくさんの恋人達が、この地で幸せに過ごしているところを思い描きながら、カナタはご機嫌にデコレーションを続けるのだった。

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あらためまして、カナタです。

回想記事が遅いのは、少し忘れてきた頃に振り返っていただくためであり、他の理由など存在いたしません。

と、まあ冗談はさておき。

この物語達を集めるのには少々苦労いたしましたが、それに見合って余りある喜びをみなさんからいただくことが出来ました。

今はやりの3Dじゃないけれど、わたしはこのブリタニアの景色が好きです。見た目だけではなく、いろんな場所にいろんな意味があるのが本当に楽しいと思います。EMとしてみなさまをエスコートさせていただくにあたり、(わたしの勝手な創作も含め)一つでも多くの場所に、一つでも多くの思いでが結びつくようにさらにがんばってゆきたいと思っています。

さて、今回は、知識も多少必要なイベントでしたので、勉強になったことも多々ございました。

わたしが当たり前だろうと思っていることが、そうでもなかったり、初心者さんへの配慮が足りないと感じる部分があったり、外人さんにはそもそも対応できなかったり……。

たくさんの方が集まってくださるイベントですから、必ず全員に楽しんでいただけるというのは難しいかもしれませんが、こうして学んだことを少しでも活かして、楽しいイベントを作ってゆきたいと思います。

それでは、今回もご参加いただきましたみなさま

本当にありがとうございました!