ふぅぅぅぅぅ……。
カナタはEMホール二階、重い荷物を下ろすようにどさっと自分の身体を席に置いた。
その頃合いを見計らって執事のスワンソンがゆったりとした歩調で階段を上がってくる。揺れる空気には疲れを癒やしてくれるであろう珈琲の香りがかすかに重なっていた。
「レースの首尾はいかがでございましたかな? カナタさま?」
スワンソンはスマートに珈琲を給仕しながら、さりげなく声をかける。
「いや……もう……何というか」
カナタは一つため息を。でも、ちょっぴりイタズラっぽく笑みを見せつつ言葉を継いだ。
「いろんな意味で……とってもエキサイティングだったんだ」
……そんなやりとちのしばらくのち、倭国リワードホールには、勝者を讃える銘板と共に、一冊の本が飾られた。
スタート直前! アイスダンジョン最奥からチキリザと共にゆこう!
たかがアイスと侮るなかれ。
歴戦の戦士達もチキリザを守るのに精一杯!
六カ所のチェックポイントのうちの一つ。
ここまでたどり着いたものの、斃れてしまったチキリザ達……。
すべてのチェックポイントをくぐり抜け、ゴールへ向かってひた走るLady EsperanzaとMUJINAsama!
無事にゴールしたLady Esperanza とMUJINAsamaを讃える冒険者のみなさま!
……というわけで、あらためましてこんにちは。
カナタです。
上を見ていただければおわかりの通り、倭国EMイベントとしては初めて競技形式で行われた「第一回 倭国チキリザマスターズ選手権 - おいで……私があなたのマスターよ -」は無事に終了いたしました。
あらためて優勝者の発表です
そして、素晴らしいパートナーである MUJINAsama
こちらのペアが見事栄冠を勝ち取りました!
おめでとうございます! (そして全滅を阻止してくださって本当にありがとうございます)
次々と名だたる冒険者がリタイアする中での、唯一の完走者。まことに素晴らしい!! ……といいますか、イベント中、もう彼女たちひと組しか残っていないとわかった時、私はEMに着任して以来はじめて神に祈りました。
「先着10組を表彰とか言ってゴメンナサイ! 反省しますからどうか彼女たちをお守りください!」
もちろん、参加者のみなさまも手に汗握っていたのではないでしょうか?
とりあえず、幸か不幸か非常にスリリングなイベントになったような……気がします。
ただ、今回は競争ということと、また初めてということもあり、スタート直後から突撃してすぐにリタイアしてしまった方が多いように感じます。今回の経験を次回に活かしていただければ、きっともっと白熱した展開が待ってる……はず。
え? またやるのかって?
ええ。やりますとも。このチキリザマスターズ選手権を伝統的な大会にのし上げる勢いで続けてまいります。突っ込むだけでも、ただ目の前の敵を倒すだけでもダメ。そんな(たぶん)奥が深い(はずの)チキリザマスターズ選手権。
次回開催を、皆さんも首を長~~くしてお待ちくださいね?
倭国リワードホールに記念の銘板とこの記事に掲載した本を飾らせていただいておりますので、ぜひその眼で一度ご確認ください!(EMホール東側後ろにルーンを設置しております)
それでは、ご参加いただいたみなさま、どうもありがとうございました!
また次回、お会いいたしましょう!
EM Kanata