サラクエル調査団 Act7 ~わたしだけの、たいせつな、悲劇~

勇敢なる冒険者諸氏

倭国EMホール執事のスワンソンでございます。

前回の顛末には、さすがのわたくしも驚かされました。Marco様のサラクエル調査団首席調査員としての活動の裏に、あのような目的が隠されていようとは……。

自らの死を、魔界に堕ちた婚約者に宣告されているという状態の中、悪魔の頭骨集めも佳境でございます。サラクエル調査団団員として集いし冒険者の皆さま。佳境でございます。皆さまのお力で、あのお二人をお守りくださいますように。

では、やむなく前回ご欠席された方のため、Marco様が語られた顛末を抜粋して、皆さまにお届けいたしましょう。

まずは、EMホールで語られた、Marco様と婚約者Stella様の悲運の物語でございます。Marco様の語りをそのまま引用させていただきます。

 

前回、予言書の作者として名前が挙がったStella……覚えておいでですか? 彼女が全ての鍵となります。 私とStellaは小さな村で育ちました。 私は親がやっていた牧羊の仕事を見よう見まねで覚え、羊たちと戯れる日々。 Stellaもそんな私をいつも手伝ってくれていたのでした。 幼なじみから恋人へ……はじめから決められた運命のように、私達は惹かれ合い将来を約束するに至りました。 そんなある日、Stellaは鮮明な夢を見るようになります。 それは、ほんの些細な身の回りのことから、国を動かす大きな出来事まで、色々でしたが……その夢は必ず「当たった」のです。 私も村人達も、はじめはおもしろ半分でStellaの夢を……予言を聞いていました。 しかし、徐々に彼女はみんなから避けられるようになります。 そう、予言は、明るい未来だけを指し示すものではありません。 しかも……決して外れない。 悪い予言をなんとかして避けようと足掻いても、因果の糸がからまり、ほどいた時にはかならずStellaの予言通りの結果に終わってしまうのです。 おわかりでしょうか? 決して外れない予言。 それは、運命の宣告です。 ……時には死刑宣告に等しいことにもなります。 彼女は、夢を見ただけ。 しかし、自分たちの不幸を宣言する彼女のことを、自分たちに不幸を運んできている張本人だと錯覚する……。 村人達のその感情は……自然の成り行きでした。 そして彼女は「魔女」と呼ばれるようになったのです。 そうなると、運命の車輪はもはや、坂を転がり落ちるのみ……。 彼女が悪いことを予言すれば「そんなことは知りたくなかった!」と言われ、彼女がこれから起こる不幸に口を閉ざせば「なぜ教えてくれなかった!」と責められる。 自分が育った小さな村で自分に対する大きな憎悪が渦巻く中、Stellaは喋らなくなりました。 ……そして、私は。 彼女のことを愛しつつも、何も言えず、何も出来ず、いたずらに日々が流れていったのです。 ついに、運命の夜が訪れました。 夜も更けた頃、妙な胸騒ぎで眠れなかった私は、窓から差すランプの灯りに気付きました。 そっと外を伺うと、Stellaがランプを携え、村の出口へ向かってゆくところでした。 私はこっそりあとをつけました。 村から出て、ずいぶん歩いたころ、元来た道の向こう……村がある辺りの空が、忌まわしい炎の色に染まっているのに気付いたのです。 私はこっそりついてきていたことも忘れ、思わずStellaに声を掛けました。 彼女は、予期していたように、静かに振り向き、底知れぬ悲しみと慈悲が入り混ざった女神の微笑みを私に向けました。 Stellaは、街に起こる災厄を知っていた。 その災厄を避けることは叶わないことを……知っていた。 そして私は気付きました。 彼女は……村に起こる災厄から、私を守ったのでした。 声なく立ちすくむ私をしばらく見つめてから、彼女は背を向け、暗闇の中に語りかけたのです。 「さあ、わたしを」 「あなたの元へ連れて行ってくださいな」 すると、周りの闇がさらに濃く、漆黒に染まり、低い声が響きます。 「我の誘惑に身を委ねし、予言者Stella」 「往こうか……魔界へ」 Stellaがゆっくり頷くと、彼女自身が漆黒に染まり、気がついた時にはもう消え去っていたのです。 さて、皆さん。 これが全てのはじまりです。 ようやく我に返った私は、急いで村に帰りましたが、夜盗の群れにでも襲われたか、村は焼き尽くされ、家も緑も家畜たちも……そして、人も。 全てが死に絶えていました。 やはりStellaは私を守ってくれたのでしょう。 でも、私は 村を守ることが出来ず 彼女を守ることが出来ず そんな自分だけが守られたことに まったく納得できなかった。 そして、魔界の……悪魔の誘惑とはなんのことか? なぜ、Stellaはその誘惑に乗り、魔界へ堕ちたのか? ……魔女と呼ばれた彼女は、それ故に魔界を安住の地に選んだのか? 再びStellaに会い、全てを知ることが、 何もできなかった私の、 贖罪なのです。  

いかがでございますかな?

そして引き続き、冒険の後半で語られた、Stella様が予言の力を得た経緯、そして、Marco様のその後について、こちらもMarco様の語りを引用させていただきましょう。

 

天界での出来事です。 ある朝、天使は大きなあくびをしたのです。 あくびに誘われて溢れた泪がひとしずく、頬を伝い、こぼれ落ち、雲の間をすり抜け地上へと……。 そして百億に一つの偶然で、ある女性が持つティーカップに吸い込まれました。 彼女は天使の泪が入った紅茶を飲み、先を見通す力を手に入れたのです。 その天使は、天上天下、はじめから最期まで、あまねく全てを知る。 ……ほんのひとしずくの涙でも、ひとりの人間に、少しばかり先を見通す力を与えるには充分だったのです。 しかし、その力は人間達には過ぎたものでした。 ……やがて悲劇が起こり、魔界に堕ちた彼女と、嘆きの日々を送るフィアンセを憐れに思い、天使は彼にほんの少しだけ、悪魔に抗する力と智恵を与えました。 そして彼は、与えられた知識から、悪魔の頭骨を七つ集めることが、魔界の住人となった彼女と再会するための鍵であることを知りました。 それを集めるため、彼女にもう一度会うために、彼は、ある団体を組織したのです。 彼に力を授けたその天使。 七大天使にして座天使長。 すべての神秘を知り尽くす。 その天使の名は サラクエル その名を冠し、守護を纏う。 それが……我ら サラクエル調査団  

 

このような過去を経て、今まさに再会できるかどうかの瀬戸際でございます。

しかもMarco様は、決して外れない予言で、近くこの世を去ると宣告され、Stella様も、当初彼女を魔界へ誘惑した魔界の伯爵の手から、かつての「魔笛」事件で二人のことに興味を持った大魔王Berialの元へと、その所在を移しているようでございます。

謎と難題が多すぎて、わたくしにも結末が見えませぬ。

倭国EMホールは、皆さまの冒険の扉。

僭越ながら、申し上げます。

その扉の先、物語を成すのは……そう、皆さまの役目でございます。

多くの方のご参加を、お待ち申し上げております。

 

倭国EMホール 執事 Swanson

 


 

 

日時 :

2014年7月26日(土) 22:00~

場所 :

Nujelm倭国EMホール

ブリテイン第一銀行近くのゲート、またはニューヘイブンに当日設置される臨時ゲートよりお越し下さい。

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